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ケーブル物語


フィデリティゲートケーブルの変遷
はじめに
ケーブルで音を変えて好みの音にするような考えが一般的なようですが、ケーブルでは音を色付け加工しないのが理想です。
スピーカーをはじめとする音響装置の癖をケーブルの癖で消すと音楽情報が減ったり(最悪逆相の場合は消えてしまう)、変な癖が出て聴き疲れします。
しかし、ケーブルのキャラクターを消せば消すほど、オーディオシステムの欠点も顕わになり、その組み合わせでは音が悪く聴こえることもあるのです。
真逆の評価になることもありますから、基本がしっかりしたシステムでないと評価しても意味がありません

■フィデリティゲートケーブルの変遷
・第一世代:単線リッツ構造多重ツイスト(2013年)
フィデリティゲートの第一世代ケーブルでは、テフロン絶縁の0.9㎜単線を使いホット側とコールド側をツイストしたものを並列に多重化していく方法でした。
この方法は、リッツ構造にして表皮効果を改善出来ますが、ワイヤーの近接効果の影響で頭で考えたほどには表皮効果による伝送特性の劣化が改善されないため、更に電流密度を平均化する手法としてツイストを逆回転で多重化することで電流密度の均一化を図り近接効果の悪影響を回避しています。しかし、この方法の延長線上でも24芯以上(線径と絶縁被覆のトレードオフあり)に多重化していくとホット・コールド間の静電容量が増えて、高域がカットされる傾向にありました。また、高分子系の絶縁被覆(誘電体)の影響で、音の濁りも増加して喧しくなる傾向がありました。


・第二世代:ホット&コールド完全分離独立構造(2015年)
第二世代ケーブルでは、ホットとコールドを離してツイストすることで、静電容量の減少(ホットとコールド間の距離を取る)に努めました。
その結果、ループ面積が増えて低域カット傾向が解消されフラットバランスに近づきました。ホットとコールド間の距離は実験結果から最低でも単線の直径分以上,できれば直径の2倍(線径0.5mmなら1.0mm)は離さないと聴感上の改善効果は出ません。どれぐらい離せば適当かは、線径とリッツ線の集合状況やケーブル長によるので多くの実験データを集める必要があります。この第二世代の方法では、一つの問題がありました。ホットとコールドを離してツイストすると工作精度の影響が出やすくなり位相の進み遅れ(スキュー)が発生しノイズキャンセル効果も低下したりするのです。ケーブルのホットコールド間の距離を一定に保つのにも適当なスペーサーが無く作業性も良くありません。多くの絶縁被覆を介在することになり外部振動の影響も受けやすかったです。

・第三世代:単線リッツ構造ホット&コールド独立分離(2017年)
第三世代では、単線リッツ構造のメリットを生かしながら多重ツイストの効果を利用するため16芯であれば、多重ツイストはそのままですがツイストしたものをホットとコールドに分けずにホット側で8芯を纏め、コールド側でも8芯を纏めた状態でホットとコールドのリッツ線の集合体にしたものをツイストしました。単線リッツ構造の集合体をツイストするので静電容量は減らすことが出来ます。特性はリッツ構造のメリットを受けながら表皮効果を回避できます。ここで各々のツイストする意味はノイズキャンセル目的でなく振動対策で、ノイズキャンセルはホットとコールドの集合体にしてからのツイストにより行われます。しかし、この方法はどうしてもケーブルが太くなりスピーカーケーブルではよいですがRCAラインケーブルではプラグに組み込めないという問題が発生しました。


・第四世代:単線リッツ構造&スターカッド(カッドの複線化)(2018年)
第三世代の絶縁被覆を太らせて線間距離をとるにはRCAケーブルに実装するうえで適用できないため、多重ツイストは断念し、ツイスト構造以上に効果のあると言われるスターカッドをアレンジして使うことにしました。ノイズキャンセルはスターカッドですがスターカッドでも複線化して最小限のリッツ構造を併用しています。
つまり、リッツ構造とスターカッドのハイブリッド構造です。
一部のブラックエナメル絹巻によるリッツ線にはキャンセル巻きを併用しています。

・第五世代:単線リッツ線多重ツイスト・クワッド・アレイ(2019年3月発売)
基本は、第四世代の単線リッツ構造とスターカッドの組み合わせは変わりません。
新たな試みは、単線リッツ構造のスターカッドを4基配列したものです。
単線リッツ線による多重ツイストとキャンセル巻きのスターカッドの組み合わせにより低域から高域までの広大な周波数レンジとノイズキャンセル効果の最大化を実現しています。



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