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ケーブル物語(会社の10年間を振り返る)

第31回 オーディオフェスタ・イン・ナゴヤ 2014(名古屋国際会議場)

       オーディオフェスタ・イン・ナゴヤ2014

       オーディオフェスタ・イン・ナゴヤ2014

■2012年定年退職後にオーディオ趣味が再燃

 【2013年6月に起業】

ノードストの切り売り単線ケーブルの10芯多重ツイスト構造で商品化。

起業の動機は、凄いスピーカーケーブルが出来たからです。

若いサラリーマンの方は28万円という高額なケーブルにもかかわらず、「感動しました!お金をためて買います」!と言って本当に購入されました。

定年退職後に趣味のオーディオを再開してから、しばらくして㈱ノジマのオーディオスクエア相模原店に通い始めました。オーディオ専門店に通い始めたのは、15歳、6歳で、未だ高校生だった頃に秋葉原のダイナミックオーディオ(当時は4店舗)や、ヤマギワ電気、テレオンなどに出入りしていました。オーディオ専門店を覘いたのは、実に45年ぶりです。ただし、全くオーディオと絶縁していたのではなく、サラリーマン現役時代に友人の勧めもあって、27歳頃に、LinnのLP12、LAXMANの真空管プリアンプと真空管パワーアンプ(KT88プッシュプルを3結に改造)、ALTEC LANSING Santana-II(ネットワークのコンデンサーをオイルコンデンサーに交換しクロスオーバーも変えていました)、スピーカーケーブルは、日本ビクターが開発したスーパースピーカーコードの切り売りを使って自作し、カートリッジは、DL103から最終的にはLAXMANのサファイヤカンチレバーを採用したものをケースハウジングを取り去ってビクターのカーボンヘッドシェルに取り付け、トーンアームはSMEの3010R、昇圧トランスは、DENON AU302を油粘土でデッドニングするという組み合わせでした。今思えばよく買ったと思います。この時の音が音楽再生の基準としてあります。しかし、60歳定年でオーディオ再開した時のCDによるオーディオ再生音には到底満足出来ませんでした。それで、国内外のケーブルに満足出来ずケーブルを自作し始めたのが、そもそものキッカケです。

タンノイ ターンベリーのスピーカーケーブルにノードストの切り売りケーブルを使って多重ツイストケーブル(リッツ構造)を実験した時に、今までに聴いたことが無い空気感を体験し、ケーブルで音が変わることにショックを受けました。単に音が良いのを通り越し、音楽の音空間まで再現し始めています。極端に言えば、音が出ていない瞬間(暗騒音)から既存のケーブルとは異なるのを体感できます。

お店の常連さんたちの評判も良く、常連さんの中には、ケーブルのレシピを100万円で売らないか?また、ある人からは、出資の話もありました。ほどなくして、常連さんのインターコネクトケーブル(RCAやバランス)も弊社のケーブルに置き換わっていきました。

【2015年6月に工房を移転】

八王子のマンションで実験を繰り返していたところ、マンション管理組合から異常音が聞こえる云々の回覧が回ってきて落ち着いて開発できず音出し環境(実験場所)を整えるためマンションから赤城山の戸建てに引っ越すことにしました。

年賀状を出した元同僚からの電話:オーディオフィジックの輸入代理店をやっているので協業できないかとの連絡で、事務所を訪ねて協業を開始。オーディオアクセサリー誌に紹介記事とオーディオアクセサリー銘機賞ケーブル部門10万円以上で受賞(3年連続で受賞)

【オーディオフェスタ・イン・ナゴヤに出展2014年】

オーディオフェスタ・イン・ナゴヤでは、励磁スピーカー(ドイツ製:グラーツ)、弊社スピーカーケーブル、インターコネクトケーブル、FirstWatt M2アンプ、NISSHAプリアンプ、CECベルトドライブCDP、ルビジウムクロックの組み合わせで、大評判になり、FM愛知の役員さん?や会場終了間際にはTAOCのブースからも、スピーカーをのぞき込んでフィールド(励磁スピーカー)ですね。と納得されていました。試聴されたマニアの方は、「今までに聴いたことの無い柔らかい音だ」と、つぶやいていました。他のオーディエンスも皆、目を瞑って音楽(キャサリーン・バトルのオンブラ・マイ・フ/ヘンデル)を聴いています。☚こういう状態になれば、よい評価に繋がります。

【名古屋サウンドピットでマークレビンソン氏のプレゼンテーションを観る】

中型のブックシェルフに30㎝前後の低音ユニット+ホーンスピーカーの組み合わせで鮮度感の高い再生音でした。

マーク・レビンソンは、エンジニアではなくジャズミュージシャン(ベーシストでの録音あり)なので、オーディオシステムの評価やまとめる才能があるように感じました。

試聴に使われたスピーカーケーブルは、布製の袋で隠されていたため、プレゼン終了後にサウンドピットで直接教えてもらいました。袋の中身は、BELDENスピーカーケーブルをパラって(並列)いたそうです。型番は失念しましたが、ポイントはツイストペアの復線化による低インピーダンスのようです。

■High End 2015 in Munich

ミュンヘンのハイエンド・オーディオ・ショーは、世界最大級の規模で開催され、業界のバイヤーが入場チケットが有料にもかかわらず世界中から3,000人以上が集まるというオーディオショーです。

コネクターメーカー時代の元同僚2名(当時は海外営業)が、オーディオフィジックという、ドイツ製のスピーカーの代理店であったことから、フィデリティゲートのスピーカーケーブルのデモ機とスピーカー内部配線の試作品を2015年のHigh End 2015 in Munich(ミュンヘン)へ持ち込んでもらい、会期中のデモで使っていただくことに成功しました。フランス人にも、ケーブルを見せたところ、見た目がイマイチだったためか、「これは、試作品か?」と言われたが、「宇宙一のケーブルだ」!と言い返すと、大うけしたそうです。

ただし、期待していたスピーカーの内部配線は、オーディオフィジックの担当者に同意は得られず、ケーブルは、材質を替えていろいろやってみたが変わらないという考えのようでした。ケーブルは材質よりも、構造が音に一番影響するのに残念な事です。それでも、デモ機(ノードストの単線で10芯の多重ツイスト)のスピーカーケーブルは、しばらく試聴したかったようで、預けてきたとの事でした。

(次回へつづく)

掲載予定

群馬県 珈琲俱楽部月夜野店 音楽鑑賞会開催

小さいスピーカーなのに平面バッフルみたいな音がする。☚古楽器が好きな音楽ファン

朝日新聞の取材(2016年12月16日)

朝日新聞掲載記事

読売新聞の取材(2017年2月6日)

読売新聞掲載記事

オーディオ専門店でんき堂スクエアI氏の紹介でアナログオーディオフェアに出展(3年連続)

     2018年アナログオーディオフェア出展時のパンフレット




■2019年アナログオーディオフェア出展時の機材

■ROTEL  RB1590 1台 ステレオパワーアンプ

ローテル・ブランドのアンプは、B&Wの傘下に入って以降、B&W800シリーズ開発時の音決めでリファレンス・アンプとして使用されているそうです。日本国内ではB&Wのスピーカーを使用される方の中には、アキュフェーズのアンプを組み合わせて使用される方が多いようですが、私見を述べさせていただくと、ローテルは、アキュフェーズに比較して音の重心が低く、空間が広い、音の背景は静かで音も自然です。ローテルは、音抜けが良く音楽を臨場感豊か(立体的)に聴くことができると思います。

(以下は、海外サイトの評価から抜粋です)
デュアルモノラル設計 - 基本的に、RB-15902モノラルです。ブロック・アンプは同じケースを共有します。Rotelは自家製のトロイダルトランスを使用し、電源に特別な注意を払いました。 コンデンサはカスタム品で、高品質なイギリス製です。 スピーカー端子はバイワイヤー配線を容易にするために、左右2つのスピーカー出力端子とともに、ラインレベルのRCAとバランス入力の両方が用意され背面パネルのスイッチで切替ています。全高調波歪み(THD)は0.03ーセント(20 Hz20 kHz)未満です。 周波数応答は10 Hz100 kHzで、S / N比は120 dBです。
アンプは完全なデュアルモノではありませんが、それに近いです。 各チャンネルに個別のトロイダル電源トランスがあります。 ングルエンド入力とバランス入力の両方の端子、非常に堅牢なデュアル5ウェイバインディングポスト出力、およびリモートターンオン用の12Vトリガ入力と出力があります

ROTELのアンプは非常にニュートラルなバランスの音を再生すると言えます。  

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■スピーカーシステム

davidlouis audio6.5inch full range speaker ハイエンド ネオジム磁石使用ペア・スピーカーを、アルテック風の銀箱(ミニサイズ版)に取り付けてデモしました。スピーカーケーブルはフィデリティゲート製のツイストクワッドのノイズキャンセル型ケーブルです。

海外のオーディオショップ?が自社ブランドでOEM生産させているハイエンドの6.5インチフルレンジスピーカーユニットです。

音質は、中音域を中心とした自然なバランスで低音も十分に出ています。特筆すべきは人間の音声など大変優れています。
また、低域も50Hzあたりからレスポンスするのでオーケストラなどの演奏も、そこそこ、こなしてしまいます。
2019年の5月に開催されたアナログオーディオフェアで大好評のスピーカーユニットです。

(2019年アナログオーディオフェア来場者数
天気 開催時間 来場者数 昨年度
5 月 18 日(土) 晴れ 12:00 〜 19:00 1,704 人 1,883 人
5 月 19 日(日) 晴れ 10:00 〜 18:00 1.363 人 1,097 人
合計 3,067 人 2,980 人

アナログオーディオフェア実行委員会発表


2020年コロナ禍で各種のイベントが中止






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6 スピーカー・ケーブル端子 選択のポイント 端子を選ぶ際にYラグ端子とバナナ端子のどちらを選ぶべきか? それぞれの長所と短所から考えます。 ■端子形状 ・Yラグ端子:接触面積が広く強固な締め付けに耐えるので接触抵抗が安定する。 ・バナナ端子:取り付けは一般的には差し込むだけで利便性が高い。抜き差しを頻繁にしていると接触が甘くなる場合がある。(ロック機構付きのバナナ端子は別) ・ピン端子:ビンテージ・スピーカーの場合は、ピン端子しか選択できないものもある。接触面積は点接触に近い。(点接触ではあるが、バインディング・ポスト側のネジで締め付けるため導通には問題ない) 理屈では、Yラグが良さそうですが、市販のYラグ端子には良いものが少ないです。Yラグであっても材質や表面処理(磨きや下地処理方法、メッキ種類やメッキ厚)が適切でない場合が多く、優秀なケーブルになればなるほど、端子による音質の劣化が顕著になります。 ■端子の材質 ・導電性:純銀>純銅>ブロンズ(銅と錫の合金)>真鍮(銅と亜鉛の合金) 導電性だけを見れば純銀ですが、音色に銀のキャラクターが出てしまうことがあります。 ■表面処理方法(めっき) 金属は空気中に放置すると酸化により錆びてきます。そのため、導電性を維持しつつ金属表面を保護する目的でメッキ(鍍金)加工が施されます。オーディオ用の端子で使われるメッキは、以下のとおりです。 ①銀めっき:銀は、酸化でなく硫化( 硫化とは硫黄成分に反応して銀が黒く変色することで、空気中の硫黄成分に反応したもの)により黒く変色しますが導通性には影響しないようです。 ②銅めっき:銅の金属に銅のメッキをする意味はあまり無いように思います。 銅は、空気中に放置すると酸化被膜(錆びの一種)が生じます。しかし、酸化被膜によりそれ以上酸化が進み錆びることを防ぎます。また酸化被膜は薄いのでホール効果により電流は流れてくれます。オーディオ的には、この酸化被膜も無いのが望ましいです。銅表面を磨いて導線を圧着したあと充填剤と熱収縮チューブで空気を遮断することで酸化被膜を防止できます。 以下は余談です。 中国製の銅端子を輸入し圧着しようとしたところ、あまりにも硬くて、これは鉄の上に銅メッキしたものであると疑いエナメル剥離用の溶剤に1時間ほど浸けておいたところ白

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