弊社ケーブルの技術的な特徴について解説します。
Q1:一般に市販されている他社のケーブルとどこが違うのですか?
A1:デジタル用のケーブル(同軸ケーブル)を除きマルチツイストペア(逆回転二重螺旋式ノイズキャンセルのリッツ構造)の大変手間の掛かる方法で製作されています。☚外観からは分かりません。※リッツ構造とは:1本1本が独立した単線を絶縁被覆で覆ってから端末で束ね、電気的に接続した構造です。リッツ線は主として高周波での伝送特性を改善することを目的に使用されますが、弊社ではオーディオ領域でもリッツ構造を使用することで大幅な音質改善に繋がることを確認し2012年の創業(2013年に起業)当時から採用しています。
リッツ構造による最初の製品は、SPC2.5MBBというOFC7Nによる0.9mm単線にテフロン絶縁のスピーカーケーブルでした。
弊社ではケーブルの種類によりリッツ線の本数を変更しています。スピーカーケーブルの場合は、8芯、16芯、32芯、64芯を受注生産により対応しています。
Q2:デジタル用のケーブル(同軸ケーブル)には、特徴がありますか?
A2:同軸ケーブルの構造は、特性インピーダンスを維持するため大きな変更はしていませんが、性能を改善するための工夫がされています。まず、ケーブルの最外周のシースである被覆(PVC)には周波数依存性がありケーブルを流れる周波数が変化するとケーブルの静電容量が変化します。これは流れる信号が静電容量が変化することで変調されることを意味します。この周波数依存性を回避するために、PVCのシースを剥離して比誘電率が低く周波数依存性のない架橋ポリオレフィンの熱収縮チューブに換装しています。さらに静電気対策として帯電列がややプラスに帯電してポリエチレン系のマイナスに帯電する静電気を中和しています。その後、ケーブルの保護と振動対策としてPETのメッシュスリーブで締め上げています。同軸コア部分は、グレードによりクラッドアルミ線と錫メッキ7芯の撚り線を使い分けています。
錫メッキ7芯コアの同軸には、編組シールドに純銀線を使用し振動対策もメッシュスリーブを二重化しています。
Q3.同軸ケーブルには50Ω用と75Ω用があるようですが、どちらを選ぶべきでしょうか?
A3.どちらを選ぶかは、接続するデバイス(機器)側のインピーダンスに合わせて選べばよいです。もし、50Ω用と75Ω用の両方が用意されている場合は、75Ωをお勧めします。これは、75Ωケーブルの方が、ケーブル性能が抜きんでているためです。実際には接続先のデバイスの性能やインピーダンスマッチングの問題も関係しますから、50Ωと75Ω両方のケーブルを使って比較して気に入った方を選択すればよいです。
Q4. 50Ωと75Ωのケーブルでプラグの互換性はありますか?
A4. 厳密に言えば、ありません。ただし現場での慣習から75Ωケーブルに50Ω用のBNCプラグを流用していた時期があり、200MHzまでは流用可能とされていますが、寸法が厳密には異なるため、何度も抜き差ししていると接触不良を起こす可能性があるようです。そのため、弊社では75Ω専用品のBNCプラグを75Ωケーブルには採用しています。
Q5.他社製のケーブルにも一部のケーブルにリッツ線を使ったものもあるようですが、リッツ線(リッツ構造)であれば性能は変わりませんか?
A5.いいえ、リッツ線をオーディオ領域で使用するには、様々な対策が必要であり、性能は大きく異なります。リッツ線の目的は、表皮効果の改善ですが、近接効果の影響で思ったほど表皮効果の改善が出きないことが学会で報告されています。近接効果による影響を軽減するにはリッツ線を、ただ束ねるだけではだめで、1本1本のワイヤーを線径分を離して配置する必要があります。実装段階では、絶縁被覆の材質により最適値は変化するため実験の上で決めています。
Q6.単線と撚り線の違いは?
A6.LANケーブルが比較しやすいので例として単線と撚り線の画像を貼り付けます。
LANケーブルを利用して端末処理を8本まとめれば、疑似的なリッツ構造のケーブルを製作することができます。
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